第34回壁外調査で所属部隊が全滅した後、イルゼ・ラングナーは壊れた立体機動装置を捨て、馬も仲間も戦う術も失ったまま徒歩で北へと逃走する。絶望に屈しないと決意した彼女は手帳を取り出し、走りながら出来事を記録し、誇り高き調査兵団の兵士は死を恐れず最後まで抵抗すると書き記す。
彼女の逃走は、体長約6メートルの巨人に木へと追い詰められたことで終わりを迎える。すぐには喰われないことから奇行種かもしれないと推測した彼女は、両親に何も恩返しできなかった利己的な人生を後悔しつつ、遺言となるであろう言葉を書き始める。その時、巨人はあり得ない行動をとる。彼女をユミルの民と呼び、頭を下げて「ユミル様」と挨拶したのだ。
呆然としながらもイルゼはその言葉をすべて記録し、巨人に問いかけ始める。お前は何者なのか、どこから来たのか、なぜ人間を喰うのか。呻き声しか返ってこないことに恐怖が怒りへと変わり、巨人は世界から消え去るべき無価値な肉の塊だと叫ぶ。巨人は自分の顔を爪でかきむしり、頬を引き裂くことでそれに応じる。イルゼは逃げ出すが、脚を掴まれて口元へと持ち上げられ、歯で頭部を砕かれて死亡する。
1年後、リヴァイとハンジは野原で彼女の遺骸を発見する。ハンジは調査兵団の腕章から遺体を識別し、リヴァイは落ちていた手帳を拾い上げ、これがイルゼ・ラングナーが命を懸けて遺したものだと呟く。
イルゼ・ラングナーは第34回壁外調査で部隊が全滅する中を生き延び、巨人の領域を徒歩で逃亡しながら、その苦難を手記に記録する。
巨人が彼女を追い詰めるがすぐには喰わず、意味のある言葉を話し、彼女をユミルの民と呼んで「ユミル様…よくぞ」と頭を下げる。
巨人への問いただしは失敗に終わり、彼女が怒りにまかせて叫んだ後、巨人は自らの顔を傷つけ、彼女を捕らえて頭部を噛み砕いて殺害する。
1年後、リヴァイとハンジが彼女の遺体と手帳を回収し、記録上初となる「言葉を話す巨人」の証言が保存される。
イルゼの手帳は諫山創の『進撃の巨人』における特別番外編の第2弾であり、単行本第5巻の第19話の前に収録されている。日本では2011年1月5日に発表され、英語版は2013年6月4日に刊行された。
本エピソードはアニメ初のOVA『イルゼの手帳(ある調査兵団員の手記)』としてアニメ化された。掲載順では『今、なにをすべきか』と『まだ目を見れない』の間に位置する。
手帳の描かれたページには、右から左へ逆さまに書かれたカタカナが存在し、「キョジン ニ ソウゴウ」(巨人に遭遇)と解読できる。この筆致は後にウトガルド城で見つかるニシンの缶詰の謎の文字に似ているが、アシスタントによって描き分けられた壁内の標準文字である可能性が高い。言葉を話す巨人がイルゼに見せた敬意は、キャラクターのユミルや「ユミルの民」に関する広範な設定を静かに伏線として提示している。
「イルゼの手帳」はアニメ『進撃の巨人』の最初のOAD(OVA)として、「イルゼの手帳(ある調査兵団員の手記)」というタイトルでアニメ化されました。
第34回壁外調査で所属する調査兵団の部隊が全滅した後、イルゼ・ラングナーは言葉を話す巨人に追い詰められる。その巨人は彼女を「ユミルの民」と呼び、「ユミル様」とお辞儀をした。これにより、作中で初めて言葉を話す巨人が記録されることとなった。
イルゼ・ラングナーは、詰問しようとした巨人が彼女の怒りに応じて自らの顔をかきむしった後、捕らえられて口元へと持ち上げられ、頭部を噛み砕かれて死亡する。
彼女の死から1年後、リヴァイとハンジが野外でイルゼ・ラングナーの遺体を発見した。ハンジは調査兵団の腕章から彼女の身元を特定し、リヴァイは彼女が息絶える直前まで巨人との遭遇を記録していた手帳を回収した。
その手帳には、イルゼ・ラングナーが言葉を話す巨人に追い詰められた経緯が記録されている。そこには「巨人と遭遇した」ことを意味する上下逆さまのカタカナが書かれたページが含まれており、ユミルというキャラクターや「ユミルの民」を巡る設定の静かな伏線となっている。
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